伝統建築診断士

 当協会では平成21年度より、伝統工法によって建築された木造建築の耐震診断及び耐久性診断の技能を有する資格者を育成し、わが国の建築業界で活躍して頂くために「伝統建築診断士」制度を発足させました。

 本制度では、建築構造、施工技術および関連法規に精通しておられる方に対して、文化財建造物を含む伝統的木造建造物の耐震性および耐久性能の診断(伝統建築診断)技術を講習し、資格試験の合格者に伝統建築診断士の資格を授与します。

 資格保有者は、伝統建築診断の結果に基づいて、建造物の耐震改修、保存処理や維持管理の計画を立案したり、計画に関する助言を与えることができます。

 本講習会の受講生には、文化庁が主催する登録有形文化財建造物修理関係者の受講資格が与えられます。また、本講習は建築士会CPDプログラムの認定を受けています。

この資格は、当協会が独自の基準と責任において付与するもので、国家資格・公的資格ではありません。

 

平成28年度は講習会を開催しません。

伝統建築診断の概要

<伝統建築診断とは?>

 社寺建築などにみられる伝統的な木造建築物の耐震性能と、腐朽や虫害などの劣化や耐久性性能の診断の両者を実施します。診断結果は、改修や維持管理の基礎的資料として活用頂けます。


<伝統建築診断の内容>

 伝統建築診断には、建物の概要情報と簡単な調査によって、耐震性能や劣化の概要を把握する簡易診断と、建物の構造や劣化状態を詳しく調査し、より精密な耐震性能や劣化状態を診断する精密診断とがあります。診断結果は、当協会の技術検討委員会で審査の上、伝統建築診断として認定し、依頼者に通知します。


<伝統建築診断の結果に基づく改修などについて>

伝統建築診断は、耐震診断および劣化診断の結果の報告をもって終了し、伝統建築診断士は、その後の改修などの工事をお勧めしたりすることはありません。これは診断業務と改修業務を分離し、客観的で正確な診断を実施するためです。しかし、伝統建築診断士は、建築に関する資格と高度な技術をもっておりますので、お施主様や管理者からのご依頼があれば、改修や維持管理に関してご相談をお受けすることはできます。




当協会は、平成24年4月1日に一般財団法人へ移行しました。

伝統建築診断制度の概要

<資格の特徴>

 講習を受講することで、社寺建築等の伝統的木造建築物の耐震診断の技術、腐朽や虫害といった木造建築に特有の劣化(生物劣化)の診断技術を取得できます。
 伝統建築診断士が対象建物の診断を実施し、その結果を当協会の学識経験者により審査・協議したうえ、伝統建築診断として認定し、建物所有者に診断結果を通知します。伝統建築診断士が単独で診断結果を建物所有者に交付することはできません。


<対象者>

 受験できる方は、建造物の維持管理、性能評価、保存・修復に関わる技術者や行政担当者などのうち、以下のいずれかの資格の所有者です。

  • 一級建築士
  • 文化財建造物修理主任技術者
  • 二級建築士で伝統建築に関する実務が6年以上の者
  • 一級建築大工技能士

<資格を取るには>

 資格は、伝統建築診断士講習会を受講し、資格試験を受け、所定の成績を収められた方に対して、一般財団法人建築研究協会より授与します。


<資格の更新>

 資格の有効期間は3年です。
 更新講習の受講によって継続できます。


<その他>

 建築士会CPD単位として認定されます。